home

じーーほーーー

quote

物語の序盤に、 「アンパンマンとバイキンマンは元は同類の存在であったが、片方はイースト菌で食用に、もう片方は雑菌が繁殖し出来損ないとして廃棄された」なんて設定を持ち込むと、 印象がずいぶん変わる。

焼かれる前のアンパンマンとバイキンマンは、恐らくは山の中に「パン種」として存在していた。 ジャムおじさんの介入を受けることなく成長していたら、彼らは山の神様として、 人の世界に定期的に出現しては、食料と災厄をもたらす存在、 制御された神の化身がアンパンマン、制御しきれない荒魂がバイキンマンという、2面性を持った、 典型的な日本の神様になるはずだった。

アンパンマンという物語では、神様の片割れが人にさらわれ、焼かれ、殺されてしまう。

ばい菌は発酵させたり殺したりして「食べられるようにする」、都合のいい状態にするというのが人間たるジャムおじさんの宿命で、そうしないと現代的な生活なんてできない。 「火を通す」という行為を通じて、「向こう側」にあった存在は作り替えられて、正義の味方として、 人の世界にとって都合のいい、暴力装置として働きはじめる。

バイキンマンから見れば、それは「同胞を殺された」ことに他ならないけれど、 人間の側からみれば、ジャムおじさんのオーブンから「生まれた」正義の味方は、 紛れもなく生きている。

アンパンマンという物語は、死者であり正義の味方でもあるアンパンマンという存在を軸にした、 「神」と「人」との関係を問いかける。

2 years ago

September 8, 2009